図1には、ITRが業務/システム領域毎に実施している国内市場調査データのうち、SaaS導入割合が高い領域について、そのSaaS比率を示したものです。
<図1 SaaS比率の高いシステム領域>

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出典:アイ・ティ・アール
最もSaaS比率が高い領域は、SRM(Supplier Relationship Management:サプライヤー関係管理)です。SRMは、インターネットを利用して企業間での購買・調達業務、および関連する情報の共有を行うための製品であるため、SaaS比率が高いのは当然と言えます。
次にSaaS比率が高い領域はLMS(Learning Management System:学習管理システム)です。この領域は基本的にコンテンツの価値が重要であり、システム機能に対するカスタマイズ要求が低いことが、SaaS比率が高い要因だと思われます。
3番目にSaaS比率が高い領域は、CRMでした。CRMにおいては、クラウド・コンピューティング牽引企業の1つであるSalesforce.comの存在感が非常に高く、事実、Salesforce.comは、SaaS形態CRM市場において41%のシェアを持っています。このSalesforce.comのビジネスモデルの成功という刺激もあり、多くのCRMベンダーがSaaSを提供していることから、この領域のSaaS比率が高いのではないかと考えられます。
基幹システムであるERPのSaaS比率が12.1%であることに驚く人が多いかも知れませんが、この領域のSaaSの90%が人事・給与分野であることに注意して下さい。人事・給与は基幹系業務の1つではありますが、間接業務といえ、販売、請求などのオペレーションやフルフィルメントの直接業務を支えるシステムでないことがSaaS比率が高い原因でしょう。
図1以外に示した領域以外のSaaS/ASP割合は総じて極めて低く、高いものでも数%といった程度です。国内企業向けソフトウェア市場全体におけるSaaS導入割合はまだかなり低いと考えられます。
それでは、今後SaaS化が進むのはどのような領域でしょうか。前回のコラムで国内ユーザー企業に対してパブリック・クラウドで利用したい業務/システム領域をたずねた結果を示しました。その結果によると、情報共有・ポータル、電子メール、スケジュール共有といったコラボレーション/コミュニケーション領域と営業支援領域の回答率が高いのですが、すでに営業支援領域のSaaS化は進んでいるため、今後はグループウェアや電子メールなどのコラボレーション/コミュニケーション領域のSaaS化が進むことが予想されます。また、受注販売、物流管理、購買、生産管理のような基幹業務領域のSaaS化はさほど進まないと思われます。
コラボレーション/コミュニケーション領域において、現在のシステム形態と将来希望するシステム形態について調査した結果を図2に示します。現在は、自社または社外データセンターに自社所有サーバを設置する、いわゆるオンプレミス型システムの比率が83.7%と圧倒的に高く、社外サービス(SaaS)を利用している企業は11.2%に過ぎません。しかし将来の形態については、オンプレミス型システムが高い傾向は続くものの、その割合は45.6%と大きく減少し、社外サービスが26.8%と倍以上に増加しています。また、この領域におけるSaaS利用意向は企業規模にあまり左右されず、むしろ大企業のほうが利用意向が高いことがわかっています。筆者は国内ユーザー企業の情報システム部門の方々と話をする機会が多いのですが、コラボレーション/コミュニケーション・システムのSaaS移行を真剣に検討している大企業が予想以上に多いことに驚いています。特に、グループ企業を含んだ国内拠点に対してグループウェア/電子メールを展開し終えた企業が、グローバル規模でコラボレーション/コミュニケーションのシステム展開を計画している場合、非常に高い比率でSaaS導入を検討しているようです。
<図2 コラボレーション/コミュニケーション・システムの利用形態(現在および今後)>

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出典:ITmediaリサーチインタラクティブ/アイ・ティ・アール
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