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パブリック・クラウド最新動向とエンタープライズ・クラウドの重要性

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ニューインデックス株式会社 津田武 2011年11月09日 11時07分 更新


[株式会社アイ・ティ・アール]コラム2011(第4回):パブリック・クラウド最新動向とエンタープライズ・クラウドの重要性

筆者が所属するITRでは、2011年10月27日に国内パブリック・クラウド市場の最新動向を発表した。ITRでは、IaaS単独の市場ではなく、まだ国内市場の小さいPaaSと合算した「PaaS/IaaS市場」に関する調査を毎年実施しているのだが、本市場の2010年度売上金額は280億円と、前年より3倍増と大きく拡大した。

筆者が所属するITRでは、2011年10月27日に国内パブリック・クラウド市場の最新動向を発表した。ITRでは、IaaS単独の市場ではなく、まだ国内市場の小さいPaaSと合算した「PaaS/IaaS市場」に関する調査を毎年実施しているのだが、本市場の2010年度売上金額は280億円と、前年より3倍増と大きく拡大した。2011年度の同市場は前年比で倍増とさらに拡大すると予測している。このように国内のクラウド・ビジネスは高い成長率で年々拡大している。

図1に国内ユーザー企業におけるパブリック・クラウド活用の変遷を模式図に現した。国内IT系メディアやIT関連のアナリスト/コンサルタントがクラウド・コンピューティングを紹介し始めたのは2008年度であった。しかし当時は、国内ユーザー企業はパブリック・クラウドにまったく興味を示さなかった。ITRにおいても、2008年度の一年間、パブリック・クラウドに関する顧客企業からの質問はゼロであった。2009年度から徐々に国内のパブリック・クラウド事業者が増え、NHKにおいてクラウドに関する特集番組が放送されたことも影響し、国内ユーザー企業のパブリック・クラウドに対する認知度は一気に高まった。その結果、2010年度にパブリック・クラウド市場は大きく拡大し、「クラウド元年」と呼べる状況となった。

<図1 国内ユーザー企業におけるパブリック・クラウド活用の変遷>
図1 国内ユーザー企業におけるパブリック・クラウド活用の変遷
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出典:ITR

2010年度に多くの企業がパブリック・クラウドを導入したことにより、事例も多く紹介されるようになった。2010年度はコスト削減を主な目的としてパブリック・クラウド導入を行う企業が大多数であったが、2011年度に入り状況は変わり始めている。前回のコラムでも述べたように、顧客向けインターネット・サイト、店舗関係システム、サプライチェーン関係システムなどの、ビジネス価値の高い用途にパブリック・クラウドを活用する企業が増えているのだ。

インフラ領域のクラウド・コンピューティングにおいては、近年システム形態がどんどん多様化しており、どれがパブリック・クラウド(IaaS)なのか不明確になっている。ここで改めて、本コラムにおける「パブリック・クラウド(IaaS)」の意味するところを解説しておきたい。多くのIT系メディア、調査会社、コンサルティング会社などが、パブリック・クラウドの定義を行っているが、まだ確立したものはないと思われる。ITRでは、パブリック・クラウド(IaaS)について、以下の定義を用いている。

IaaSとは、CPU処理能力、メモリ、ストレージといったハードウェア資源をネットワーク経由で提供するサービスである。

つまり、自社所有型システム(オンプレミス)ではなく、事業者がサービスとして提供しているものを、パブリック・クラウドとしている。

図2にインフラ領域におけるクラウド・コンピューティングの形態を示した。一般的にパブリック・クラウドといえば、図2の「狭義のパブリック・クラウド」をイメージすることが多いと思われる。しかし、実際の商用クラウド・サービスは、ユーザー企業のニーズを先取りし、図2に示した多様な形態に分かれている。インターネットからの脅威を避け自社WANとの接続性を重視するユーザー企業が多いために閉域網経由のサービスが登場したり、他ユーザー企業とのサーバ・ハードウェア共有を嫌うユーザー企業が多いために専有型のサービスが登場したりしている。

<図2 インフラ領域のクラウド分類>
図2 インフラ領域のクラウド分類
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出典:ITR

先ほどの定義に従えば、インターネット経由のパブリック・クラウド(狭義のパブリック・クラウド)、仮想プライベート・クラウド(閉域網経由のパブリック・クラウド)、およびマネージド・プライベート・クラウド(事業者DC設置型プライベート・クラウド。事業者所有型とユーザー企業所有型が存在する。)の事業者所有型サービスが、本コラムでの対象(広義のパブリック・クラウド)である。

図2には、クラウド・コンピューティングのタイプとして、「エンタープライズ型」と「汎用型」があるとしている。汎用型とは一般消費者からユーザー企業まで広いユーザーを想定した、利用しやすく安価なサービス、のことである。エンタープライズ型とは、主に大企業または中堅企業向けに、高度で複雑な要求に柔軟に対応出来るサービスのことである。ビジネス価値の高い領域へのパブリック・クラウド活用のために、エンタープライズ型サービスが登場しているのである。図3には、エンタープライズ型と汎用型の比較を示した。

<図3 パブリック・クラウド(IaaS)の分類>
図3 パブリック・クラウド(IaaS)の分類
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*注:SLA(サービス品質保証制度)、SLO(サービス品質保証目標)
出典:ITR

次回は、エンタープライズ型クラウドを活用するためのポイントについて述べてみたい。

[株式会社アイ・ティ・アール]コラム2011(第1回):クラウドによるビジネス貢献/イノベーション創成の価値
[株式会社アイ・ティ・アール]コラム2011(第2回):クラウドが牽引するイノベーション
[株式会社アイ・ティ・アール]コラム2011(第3回):パブリック・クラウドによるビジネス成果獲得事例

プロフィール

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甲元宏明
株式会社アイ・ティ・アール
シニア・アナリスト

前職では情報部門でSCM・CRMなどのシステム開発、MPLS・VoIPなどのWAN構築、IT戦略立案を主導。その後、欧州企業との合弁企業においてグローバルITを統括し、IT戦略立案・ERP展開を実施した。2007年より現職。担当は、ITアーキテク チャー・開発方法論・クラウドコンピューティング・ネットワーク・CRMほか。