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ニューインデックス株式会社 鈴木敏成 2010年06月28日 11時41分 更新


[VMware]クラウドコンピューティングと人の変化(3/5)

第3回は、クラウドコンピューティングが浸透することによって人がどのように変わっていくかを、VMwareに関わる人々の例を中心にお話ししていきたいと思います。

時代の変化とITプロフェッショナルの変化
1990年台後半当時、最新のハードウェアを持っている人に技術力がつくという形が続いていました。当時はまだハードウェアが高価であり、高価なハードウェアを売ることを中心に業界と人はまわっていました。ハードウェアの販売に近い所にいるエンジニアは、技術を学ぶためにマニュアルを読み、最新のハードウェアを使いこなし、多くの技術を学びスキルアップをしてきました
2000年に入り、x86サーバの広がりと低価格化によって、多くの人がハンズオンをしやすい状況になりました。加えて多くの書籍も出版されて、ITプロフェッショナルになる敷居が下がってきたのがこのころです。しかしまだ大容量ストレージは高価であり、ストレージエンジニアが重宝され、ストレージのパフォーマンスを計測するだけでコンサルティングができた時代でした。
2000年台後半になると、x86サーバのさらなる低価格化と仮想化によって、一気にコンピュータリソースを使用するトータルコストが下がりました。その結果、コンピュータを販売する価格より、周辺サービスの価格の割合が高くなりはじめています。場合によってはゲストOSのライセンスが一番高いというアンバランスな状態になることがよくあります。

時代の経過により、コンピュータハードウェア、ソフトウェアの価格とサービスの価格の割合がかわり、今後はサービスとはなにかを問われています。ハードウェア、ソフトウェアと人が提供するサービスをうまく連携させて、ホールプロダクトのITサービスを適切なコストパフォーマンスで提供できる技術が揃ってきたため、ユーザはクラウドコンピューティングのサービスとしてITを使えるようになりました。

一般消費者のモデルが参考になる

一般消費者はすでにクラウドコンピューティングをフル活用するようになってきています。
携帯電話もクラウドへ接続するデバイスの1つだとすると、現役世代の中心はすでに携帯電話を使用するのが当たり前になっていることから多くの人が携帯電話からネットワークを通じて、低コストでサービスされているクラウドを使用しています。
ゲームもパッケージを販売する形から、現在は「サービスを受ける権利」を販売する形に変わりつつあります。
ITに近い業界は、物売りから「サービス業」へシフトしはじめています。
メーカーとSI業者とサービスプロバイダ
ここ数年、全世界でハードウェアメーカやソフトウェアメーカが減り、そこで働いていた人の多くはサービスプロバイダに移籍を開始しています。
ハードウェアの汎用化が進むと、次の差別化要因は、「サービス」となるため、力のあるエンジニアはその主権を握ると思われるサービスプロバイダに移籍しはじめています。
未だストレージは様々な視点で汎用化されていませんが、今後はストレージも汎用化がより進み、同様の傾向が出てくる可能性があります。

そうなった場合、今までのハードウェアメーカとソフトウェアメーカとの役割が変わっていくことが考えられます。
今まで、メーカーが行ってきた、市場開拓と製品(サービス)の提供をサービスプロバイダが実施し、販売以降の設計や構築、1次保守もすべて行うようになっていくと考えられます。

一方メーカーの役割は、自身がサービスプロバイダになる、または、テクノロジーを提供するだけではなく、サービスプロバイダにメリットがあるパッケージやソリューションを提供してく方向に変わっていきます。
最近の言葉に言い換えると、インターナルクラウドやパブリッククラウドを構築するために必要なAPIや製品、それらをパッケージした製品群の提供です。
大手ソフトウェアメーカは前者の戦略と後者の戦略を同時にとっていることから、投資の分散が発生し、結果的に良い製品を十分提供できていないように見えます。VMwareは、サービスプロバイダ事業者向けに、パッケージやソリューションを各種メーカーと連携して提供していくことを継続していきます。

ここでいうサービスプロバイダは、今までのxSP事業者だけではなく、既存のSI企業も入っています。
さらに、ユーザのIT部門もサービスプロバイダに含まれます。
つまり、ITを使って仕事をする人に対して、ITのサービスを提供する人全員が、サービスプロバイダになっていくということです。

各社IT部門は、自社のユーザを顧客として定義し、「社外のサービスプロバイダ」と比較されながら「社内にいるサービスプロバイダ」としてサービスを提供する形になっていくのが今後の大きな方向性と考えられます。
そのような環境になると、必要に応じて、社外のサービスプロバイダを吟味し、ハイブリッドのインフラを企画、デザインできる、クラウド案内人のような人材が社内のサービスプロバイダに必要とされてきます。
既存のモデルが新しいクラウドモデルに徐々に変わっていくため、新しいタイプの職種が増え、今までの職種の位置づけが変わり、それらの人々のいる「場所」が徐々に変わっていくということが、今後のITプロフェッショナルに対する変化です。

1つの例として、下記のようなイメージになっていきます。
iPadやiPhoneによってクラウドに慣れたユーザが要求を出し、それに応える案内人が、適切なサービスプロバイダを紹介するという形をとった場合の例です。

<クラウド案内人の役割>
クラウド案内人の役割

提供者と使用者の視点で人を考える

クラウドコンピューティングの各レイヤ(IaaS、PaaS、SaaS)を提供するサービスプロバイダには顧客がいます。
それぞれのサービスプロバイダと顧客の視点で、少し考えてみましょう。

IaaSの顧客はカスタムアプリケーション開発者、パッケージアプリケーション構築者が想定されます。
IaaSのサービスは、汎用化された仮想マシン+ゲストOSをニーズに応じて5分以内に提供し、従量課金で提供するものと定義します。IaaSを提供するITプロフェッショナルは、リソースプランニングとコスト管理、サービスレベル管理をすることが重要になってきます。良い品質の仕事をするには、物理環境での運用や構築スキルが大きく生きてきます。
IaaSの顧客は、今までの物理環境での開発と全く変わらないので、大きな変化はありません。

PaaSの顧客はカスタムおよびパッケージアプリケーション開発者が想定されます。
PaaSのサービスは、いくつかの種類のアプリケーション開発〜実行〜運用環境を従量課金で提供するものと定義します。PaaSを提供するITプロフェッショナルは、PaaS環境内の安定稼動と連動性、さらにIaaSとの連携を実現することが重要になってきます。 良い品質の仕事をするには、物理環境と同様のスキルが必要でありながら、IaaSの理解も重要になってきます。

PaaSの顧客にとって言語や開発フレームワークの選択が、大きく仕事のやり方を変えていきます。さらに、どのクラウドを使って開発をするのかにも大きく依存します。
例えば、Javaの開発者であれば、UNIXでもx86でも広くアプリケーションの開発ができます。GoogleやSalesForceのクラウドインフラを使用することも可能です。またSpring Sourceと組み合わせた社内クラウドを活用することで、より効率的な開発ができるようになります。 今後、クラウドの市場の変化が急速に進んでいくとすると、言語や開発フレームワークより下のレイヤの変化を気にしなくてすむ、言語や開発プラットフォームを選ぶことも1つの重要なポイントになってきます。

SaaSの顧客はアプリケーション利用者が想定されます。
SaaSには、今までのアプリケーションをコスト削減としてクラウド化するものと、クラウド的コラボレーションをするために作られたSaaSの2種類があると言えます。
前者は、セキュリティ・コンプライアンスが確保できれば容易に実現できます。しかし後者はアプリケーションの設計がクラウド対応、つまり多くの人で仕事をするための機能を持つ必要があるので、アイデアと迅速で低コストに開発でき、スケーラビリティのある実行環境が必要になってきます。楽天やTwitter、mixi、Facebook、Googleなどはその部類に入ります。

大きな変化に対応していくために

私達VMwareはクラウドコンピューティングのコアとなる仮想化技術の啓蒙を10年以上してまいりました。今後はさらに使いやすいクラウドコンピューティングを実現するための技術やソリューションを提供していきます。
サービスプロバイダにとって大切なことは、クラウドコンピューティングをコストパフォーマンス良く作り、それをユーザに提供し、ユーザがそのコスト競争力と俊敏性、ビジネスロジックの優位性などによって、ビジネスや日々の生活に貢献できる流れを作ることです。

ITプロフェッショナルは今までの経験を基に、「ビジネスに貢献するIT」を企画していきます。または、ITのスペシャリストとして技術を極めて、クラウドを最適化していきます。一方ユーザは、ITの中身より「使い方」を理解し、コアビジネスへの貢献をするという変化が必要になってきます。

1つの例として、ITインフラエンジニアの皆様には、VMwareを学ぶ中で、切磋琢磨して頂くことができたらと思っています。VCPという有償で取得する認定資格を取っていただく事を1つの頂点とし、パートナー企業の方々にはVTSP、VSPという認定資格とトレーニングを無償で提供しています。
VMwareを学ぶ良い点は、仮想化というインフラ技術の総合格闘技のようなものに触れることで、今一度、何をどこまでやれば良いのかを確認できることです。特にこれからITインフラ技術を学ぶ人には最適で、1つの指針になります。
また、2008年に出版された、「VMware徹底入門」を読んでいただく事で、道筋を作れるようにもなっています。
ハンズオンをするさいには、VMUG(http://communities.vmware.com/community/vmug/forums/asia_pacific/japan)が参考になるかもしれません。

変化をチャンスと捉え、ITプロフェッショナルは、今まで以上に横と縦の連携を強めていくか、1人で解決できる範囲を広げていく必要がでてきます。
例えば、メーカーやSI事業者に在籍していたITプロフェッショナルは、さらに専門性を高めてスペシャリストになるのか、「サービスプロバイダ」に移籍し、ITの知識を生かしてビジネスパーソンになりビジネスに直接貢献するのか、その間を取り持もつ道先案内人になるのかの等から自分の道を選択し、自分自身の強みを生かす道を切磋琢磨しながら歩いていくことが唯一の解決方法なのだと思います。
まずは、手元にVMwareの仮想化技術を活用し、ミニクラウドを作ってみませんか?
(ヴイエムウェア株式会社)